テレワーク導入時に就業規則の変更は必要?作成ポイントを解説!

テレワーク導入時に就業規則の変更は必要?作成ポイントを解説!

テレワーク導入する際に就業規則の変更を検討しますが、いざ変更しようにも、なぜ必要なのか、どのような内容にするのか、具体的な手順はどうするのかなど、不明な点は数多くあります。

はたしてテレワーク導入する際にどんなことに気を付ければいいのでしょうか。それでは、テレワーク導入時の就業規則の変更、注意点や手順などについてご説明しましょう。

テレワーク導入にあたって就業規則は変更する?

結論から言えば、テレワーク導入の際に就業規則を変更するかどうかは、テレワークを実施する際の規模によって大きく違います。

テレワークは会社の仕事を自宅で行う働き方の一つですが、特に就業規則で定めなくてもテレワークとして働くことは可能です。これは個別の労働契約によってテレワークが実施できる以上、就業規則を新たに変更する必要性はありません。

しかし、企業全体の働き方の変化によってテレワークを推進する場合、会社全体の共通ルールである就業規則にテレワークに関する事項を記載する必要性があります。もしもここで就業規則を変更しなかった場合、個別の労働契約ではそれぞれの社員の間で不公平や不平等な状態になる可能性が高いでしょう。

それでは、大規模なテレワーク導入を行う際の就業規則の変更点についてご説明しましょう。

テレワーク導入にあたって就業規則や別規程として定める事項

テレワーク導入に就業規則や別規定として定める事項は、以下の通りです。

・テレワーク勤務の定義

テレワーク勤務の定義とは、自社で導入するテレワークがどの勤務形態になるのかを定義するものです。在宅勤務にするのか、サテライトオフィス勤務にするのか、どの勤務形態をテレワークとして認めるかによって内容も変わってきます。

たとえば労働者が働きやすいように自宅に準ずる場所を定めたり、社員の要望に応じて事情やセキュリティ面の安全を考慮した上で例外として認めたりするかどうかが重要です。

・テレワーク勤務の対象者

テレワーク勤務の対象者を決めるのは、どの労働者をテレワーク勤務の対象にするのか明確にしないと混乱を招く可能性があるからです。基本的に全労働者を対象にするのが一般的ですが、業務内容や性質によっては一部の人のテレワーク勤務を認めたり、育児や病気などの事情によって労働者のみを対象にしたりと、対象先が多くあります。

雇用形態のみを理由に対象者を絞ることはできませんが、対象者を慎重に選ぶことが大切です。

・テレワーク勤務時の服務規律

服務規律とは、情報セキュリティや職務専念義務、秘密保持義務などを明確にするためのものです。テレワークを行うということは実質的に社外に重要な情報を持ち出して業務を行うということになるので、服務規律を遵守しなければ機密情報を漏洩させてしまう危険性があります。

機密情報の漏洩は会社の信頼の失墜、ひいては会社の倒産という最悪の事態に発展するため、就業規則における服務規律をハッキリ記載しましょう。

・テレワーク勤務時の労働時間や休憩時間

会社では同じオフィスで働くので労働時間や休憩時間が把握しやすかったですが、テレワークにおいても個々の労働時間や休憩時間を把握しなければなりません。

社員がどこでどのように働いているのか把握しなければなりませんが、やむを得ない事情で席を離れる中抜き時間についても取り決める必要性があります。

この中抜け時間をどのように扱うのかどうかは企業によって、以下のように取り決められます。

● 休憩時間として扱う
● 時間単位の年次有給休暇として扱う
● 中抜け時間を設けず、始業終業の時間帯を取り決める

以上のようにハッキリと労働時間と休憩時間を記載することで平等性が保たれます。

・費用の負担

テレワークを推進するということは労働環境を整えなければなりませんが、労働者に通信費や水道光熱費、備品などを初めとする様々な費用を負担させることになります。労働者にとっては、いきなりテレワークを推進することになったために急な出費が出てしまうことで反対する人もいるでしょう。

企業側はなるべく労使による費用負担や労働者が会社に費用を請求する方法など、費用負担について就業規則で細かく記載する必要性があります。

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テレワーク導入にあたっての就業規則や別規則の作成手順

テレワーク導入にあたって就業規則や別規則を作成する時は、基本的に労働時基準法で定められている方法に従いましょう。

就業規則や別規則を作成する時に大切なのは、就業規則をどのようにして定めていき、その上でルールを守ることです。就業規則は企業の独断で作成・変更することができず、必ず労働組合や過半数の労働者の代表者の意見を聞かなければなりません。

その上で就業規則を作成・変更することになります。

また、就業規則の作成や変更した時に、全ての労働者が知る状況を作らなければならず、その内容が全会一致で合理的だと思えるものでなければなりません。

全ての労働者が内容を把握するためにも、人の目につきやすい場所に掲示したり、社内ネットワーク城で閲覧できるようにしたりする必要性があります。

よくある誤解とテレワークの就業規則や別規程の作成で留意すること

テレワークの就業規則や別規定の作成で特に注意しなければならないのは、労働基準法の強行法規に従わなければならないこと、テレワークを希望しない人に強制しないこと、そして事業場外みなし労働時間制はほぼ適用できないことです。

これにより、テレワークによる就業規則を作成する時は必ず労働基準法の強硬箒に従わなければなりませんし、テレワークを希望しない人に対して強硬措置を取る権利はありません。

テレワークは労働者が納得してこそできるものなので、今まで通りオフィスで勤務してもらうことになるでしょう。

そして、テレワーク推進によって常にネットに接続している以上、会社の管理者はいつでも指示が出せる状態にあります。したがって、事業場外みなし労働時間制はほぼ適用されないと思った方が良いでしょう。

テレワーク就業規則に関係する助成金や各種相談窓口

テレワークの就業規則を作成する際に助成金が利用できないか知りたい時は、各省庁や地方自治体に相談するのがおすすめです。テレワークに関する助成金は何があるのか各種相談窓口があるので相談しやすく、厚生労働省委託事業であるテレワーク相談センターに相談するのも良いでしょう。

こちらはテレワークの導入に関して分からないことや助成金に関することなど様々な相談を受け付けています。さらに助成金の申請手続きや企業への訪問相談もできるなど、少しでもテレワーク導入に関する不安を取り除くことができるでしょう。

テレワークは働き方改革の重要なメニュー

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テレワークは働き方改革における重要なメニューであり、新型コロナウイルスの影響によって急速に導入が進められています。柔軟な働き方ができるテレワークですが、まだまだ分からないことが多い場合は各省庁や地方自治体、テレワーク相談センターに相談するのがおすすめです。

大阪で労務管理に強く、就業規則の作成や電子化等、ITにも強い石丸社会保険労務士事務所。ぜひお気軽にお問合せ下さいませ。