労務管理とは?基本業務や社労士の関わりと今後の労務管理対策を徹底します
労務管理とは、従業員の給与や勤怠、福利厚生などに関する管理全般を指し、企業において欠かせない業務の一つです。働き方改革によって特に近年重要視されるようになっています。労務管理の基本業務や気を付けるべきポイント、今後の対策について解説します。
労務管理とは?
労務管理とは人事管理領域の業務であり、労務関連の管理を行うものです。
同じく人事管理領域の人事管理と混同されることが多いですが、労務管理は以下の業務を行います。
• 給与計算
• 勤怠管理
• 社会保険・雇用保険手続き
• 福利厚生業務
• 安全衛生管理
対する人事管理は、以下の業務を行います。
• 採用業務
• 入退社手続き
• 人事考課
• 人員配置
• 教育・育成
このように混同されそうな労務管理と人事管理でも、業務内容は全く違います。人事管理は従業員に対する業務を行い、労務管理は従業員の労働に関する業務を行うものだと覚えておきましょう。
以上の労務管理を行うのが、労務管理士です。労務管理士は労務に関する業務を行う重要なポジションであり、民間団体の資格でありながら高い専門知識によって自社企業内の人事や労務の管理を行います。
ただし、社労士ではなく労務管理士が各種労働社会保険に関する書類を作成した場合、社会保険労務士法によって罰則を受けることになります。労務管理士はあくまで自社企業内で人事や労務の管理を行うものなので、決して違反しないようにしましょう。
労務管理の基本業務
労務管理の基本業務は基本となる以下の年間スケジュールによって決められています。
年間スケジュール | 基本業務内容 |
---|---|
1月 | なし |
2月 | なし |
3月 | 年次有給休暇取得状況管理 |
4月 | 雇用契約書の作成 就業規則改定 労使協定締結 新入社員の社会保険および雇用保険資格取得届 年次有給休暇付与 |
5月 | 就業規則変更届 労使協定届 |
6月 | 夏季賞与支給 賞与支払届 |
7月 | 労働保険年度更新 社会保険標準報酬月額算定基礎届 |
8月 | なし |
9月 | 社会保険標準報酬月額改定 定期健康診断の実施 |
10月 | 定期健康診断結果届出 ストレスチェック実施 |
11月 | 定期健康診断およびストレスチェック診断の結果 産業医面談 |
12月 | 冬季賞与付与 賞与支払届 |
以上が主な基本業務となりますが、なしとなっている月も何らかの業務を行う可能性があります。
社労士による労務管理に関する相談や指導
ここで社労士の話になりますが、社労士と労務管理士では業務内容も資格の種類も全く違います。社労士は国家資格であるのに対して、労務管理士は民間団体の資格です。
そんな労務管理士ですが、社労士と関わることがあるのが大きなポイントとなります。
それは、社労士による労務管理に関する相談や指導を行うというものです。
社労士は依頼主の業態に関係なく、労働環境や人事などの労働管理に関するコンサルティングを行っていきます。労働時間や賃金状況が適切なものになっているか、作成された就業規則の内容に沿って適切に運営されているかどうか、職場の状況や実情などの監査や指導を行うのが社労士の役割です。
厳格に監査を行い、問題が見つかった場合は適切な指導を行って指導していきます。
また、労働基準監督署が企業に対して調査や処分を行う場合、その企業の代理人として意見を言うことも可能です。社労士が介入することによって労務管理が適切に行われているかどうかが重要なポイントになるため、企業が適切に労働できる環境かどうか指導し、相談を受けることはとても重要な業務です。
今後の労務管理について
今後の労務管理は、以下の改善点が求められます。
• 労働者視点の職場改善
• コンプライアンスの遵守
• 電子化による業務改善
労務管理士は働き方を見直すにあたって、労働者にとって安心して働けるような労務環境にしなければなりません。労働者によって働きやすい環境を作るということは、職場環境が改善されることによって労働者が安心して働けるようになることからモチベーションが維持され、職場が活性化し、健康障害を防止することに繋がります。
職場改善におけるポイントは、『作業環境』『作業方法』『疲労回復支援施設』『職場生活支援生活』の4種類です。労働者が安心してスムーズに業務ができるようにするためにも、労働者の目線になって変えることが大切です。
次に、労務管理におけるコンプライアンスを遵守することが重要です。労務管理に関する法令は数多くあるため、少しの変更で法律違反になってしまうことがあります。法令違反にならないように細心の注意を払う必要性があるでしょう。
知らなかったでは済まされませんし、これから新しい法令が制定される可能性も大いにあるため、法令に関する情報は常に最新にすることが大切です。
最後に電子化による業務改善ですが、こちらは労務管理士における情報管理の手間をは削減するために必要です。管理台帳や帳簿など、膨大な資料の中で法令で決められた保存期間を守らなければならないなど、全てを把握するのは非常に難しいでしょう。
情報管理には大きな手間や時間、管理コストもかかるなど、従業員が多い企業ほど現実的な問題ではなくなってきます。必要な情報がすぐに取り出せないこともありますし、情報流出のリスクもあるので会社の信用問題に繋がる可能性も十分にあるでしょう。
そのようなリスクを削減するためにも、電子化による業務改善を行うのが望ましいです。労務管理を電子化することによって必要な情報がすぐに取り出せるようになり、強固なセキュリティを敷くことで情報漏洩のリスクを大幅に削減することもできます。
何より膨大な資料を管理する手間や時間、管理コストが大幅に削減できるのが大きなメリットです。労務管理に手間取っているなら、電子化を検討する必要性があるでしょう。
まとめ
労務管理は企業において非常に重要なことであり、労働者が安心して働ける職場環境を維持するために専門的な知識を必要とします。社労士による相談や指導が入ることによって企業の労務管理もスムーズに進められますが、働き方改革を推進するのであれば電子化や労働者目線で職場改善を行うことが大切です。
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