【社労士が解説!】「社会保険労務士とは」をわかりやすく説明します!

企業の経営と発展に欠かせない資源と言えば「人」「物」「お金」「情報」ですが、社会保険労務士はその中の「人」に関する部分を受け持つエキスパートです。企業の業務で例えるなら「人事・労務(総務)」における専門家なのですが、どのような業務内容かご存じの方は少ないのではないでしょうか。

そこで今回は、社会保険労務士の特徴や業務内容、依頼するメリットなどをご紹介します。社会保険労務士への依頼を検討している企業経営者の方は、ぜひご一読ください。

社会保険労務士とはわかりやすく言うとどんな士業か?

はじめに、社会保険労務士(以下、社労士)の概要と業務内容を詳しくご紹介します。

概要

社労士とはわかりやすく言うと「労務管理」と「労働・社会保険」のエキスパートです。企業の発展と社員一人ひとりの福祉向上に尽力する役割を持ち、法律に則って以下の業務を行うことが認められています。

・申請書類等(※1)の作成および提出代行
・事務代理
・帳簿類の作成
・紛争解決手続代理業務(※特定社会保険労務士に限る)

※1 労働・社会保険に関する法令に基づき、労働基準監督署、公共職業安定所、年金事務所等に提出する書類で、主なものに「労働保険概算・確定保険料申告書」「雇用保険被保険者資格取得届」「労働者死傷病報告」などがある。社会保険労務士法では、社労士が扱える50以上の法令が定められている。
参照:e-Gov「社会保険労務士法」

立ち上げたばかりの小さな会社でも、社員がいるなら労働条件や服務規律、社会保険の加入など、人事・労務に関する取り決めは避けられません。とくに近年は、会社と社員の間で労働関係のトラブルが起きるケースも珍しくないため、人事・労務に関する規定の取り決めや見直しなど、ルールの構築・改善におけるフットワークの軽さが求められます。

しかし、人事や労務の業務は一朝一夕では捌き切れないほど膨大です。企業によっては人事が労務の業務を兼任したり、そもそも2つの部署がなく総務が一貫して業務にあたったりするケースもあり、すぐに動けないこともあるかもしれません。

そのようなときに活躍するのが社会保険労務士であり、逼迫(ひっぱく)しやすい人事・労務の職場環境を円滑にするために欠かせない存在と言えます。社会保険労務士の業務は、労働関係のトラブルやリスクを未然に防ぎ、ひいては会社や社員を守ることにもつながります。そのため、企業における社会保険労務士の重要性・必要性は高いと考えられます。

なお、社労士は企業から委託されて働く「開業社会保険労務士(※2)」と、企業内部で専門職として従事する「勤務社会保険労務士(※3)」、労使間のトラブル解決に努める「特定社会保険労務士(※4)」の3つに大別できます。

※2 事務所を開設し、企業や事業主からの依頼を受けて業務を行う
※3 企業などに属し、所属する組織内で業務を行う
※4 事業主や労働者などの代理人となり労使間のトラブル解決を行う。研修・試験合格が必須

業務独占資格である点

社会保険労務士資格は「国家資格(※5)」かつ「業務独占資格(※6)」です。つまり、社会保険労務士資格を有していない人が、営利目的で社労士業を行えば法律違反になります。

社労士の業務は社会保険労務士法第2条の各号に記載されており、それに則って1号業務、2号業務、3号業務と区分されることがあります。社労士は独占業務ですが、実際に独占業務なのは1号・2号のみで、3号業務については社労士以外でも行うことが可能です。

1号業務・労働及び社会保険に関する法令(以下「労働社会保険諸法令」という。)に基づいて申請書等を作成すること
・申請書等について、その提出に関する手続を代わってすること
・労働社会保険諸法令に基づく申請等について又は当該申請等に係る行政機関等の調査若しくは処分に関し当該行政機関等に対してする主張若しくは陳述について代理すること
2号業務・労働社会保険諸法令に基づく帳簿書類(その作成に代えて電磁的記録を作成する場合における当該電磁記録を含み、申請書等を除く)を作成すること
3号業務事業における労働管理その他の労働に関する事項及び労働社会保険諸法令に基づく社会保険に関する事項について相談に応じ、又は指導すること。

出典:e-Gov「社会保険労務士法」

わかりやすく言うと、1号業務は「申請書の作成・手続きの代理業務」、2号業務は「労働保険関連の帳簿作成(労働者名簿・賃金台帳・出勤簿・就業規則なども含む)」、3号業務は「労務コンサルティング(相談)」となります。
つまり、採用業務や人材育成、人事制度改革、業務改善など労務コンサルティングの業務範囲内であれば、社労士以外でも従事することが可能です。

しかし、労務における課題は企業経営の課題でもあるため、無資格者が担うには負担が大きすぎることもあります。実際にトラブルに発展してしまえば「社会保険労務士賠償責任保険(※7)」以外の保険では賠償が賄えない可能性が高いため、リスクを最小限に抑えるためにも社労士への依頼をおすすめします。

なお、社労士は業務が幅広く、取り扱う法律もさまざまなので、社労士によって得意・不得意があることも。依頼の際は「何が会社に足りないのか」「どういったサポートを受けたいか」を明確にした上で相談するとスムーズです。

※5 法律で定められた資格。知識・技術が一定の水準以上だと国に認められた証でもある
※6 特定の業務を行うに際して、特定の資格を取得した人だけが従事できる専門資格
※7 社労士の誤った助言などによって引き起こされた損害を賠償する保険

社会保険労務士の主な業務内容

社労士とはわかりやすく言うと、「人事・労務(総務)が担当する管理業務全般」と、労働保険や社会保険、年金保険などの「公的な保険制度」に関する専門家です。書類作成・届出だけでなく、人事・労務の観点から問題点を洗い出し、改善点を企業に伝える役目も担っています。そんな社労士の扱う業務は多岐に渡りますが、主な業務内容は以下のとおりです。

労務・総務部的な業務
・労働保険(労災保険・雇用保険)における書類作成・届出
・社会保険(健康保険・厚生年金保険)における書類作成・届出
・給与や賞与、年金、退職金に関する手続きや相談、制度の見直し、企画・運用など
人事部的な業務
・労働時間や残業に関する改善策の提案
・労働トラブルや労務リスク対策の相談
・人事(※8)における各種手続きや相談、指導、制度の見直し、企画運用など

※8 採用、教育訓練、研修、労働条件、人事評価、能力開発、休日休暇、賃金制度、解雇など

上記を見ると、社労士が社員一人ひとりの採用から退職までに関する大切な業務を担っていることがわかります。
ほかにも、就業規則の作成および見直し、助成金受給のアドバイスや申請代行、労働基準監督署の是正対応、メンタルヘルス対策なども社労士に依頼できる業務範囲に含まれます。

依頼するメリット

社労士に業務を依頼するメリットは、おもに以下の2点です。

複雑な労働・社会保険手続きから解放され、企業経営に専念できる

労働や社会保険に関する業務は、たとえ単純な書類作成であっても時間がかかります。役所への移動時間や待ち時間も含めるともっと時間がかかるため、その分経営や営業など直接的な利益になる業務は後回しになってしまうことが考えられます。

人事や労務、総務に関する複雑な事務手続きは社労士の得意とする領域です。企業全体の動きを把握するために労働や社会保険について一から学ぶことも重要ですが、限りある時間をより有効に活用するために、社労士に任せてしまうのも一つの方法と言えます。

申請書類などの手続きの改善

「経営者だからこそ、できることはしなければ」と考える方は多く、とくに社員数の少ない中小企業では一人ひとりの受け持つ作業が多くなりがちです。

人事や労務、総務の仕事には複雑な書類作成なども多く、経営や営業との兼業は思った以上に大変です。専門的な内容になればなるほど時間がかかりますし、手続きや届出に関しては見落としたり忘れたりするリスクも高まります。

これらの業務を社労士に任せれば、申請書類などの手続きはスムーズになりますし、仕組み作りや改善点の提案など会社に適したアドバイスを受けられます。
また、人事・労務管理全般の知識や法令改正に関する情報を得られる点も大きなメリットと言えます。最新の知識や情報を事前に把握し、常に社内規定をアップデートしていけば、労務におけるトラブルやリスクを未然に防ぐことにもつながるはずです。

社会保険労務士の力を借りて企業経営の成長を目指しましょう

企業経営に力を注ぐには、経営者の良きアドバイザーとなれる“中立的な存在”が必要です。社労士に依頼することで法律が関わる複雑な手続きにかかる時間を短縮できますし、その分企業経営に専念できるはずです。もちろん大切な社員を守るためにも、社労士の知識は大きな力となります。
これから会社を立ち上げようとしている方はもちろん、現在労働関係や社会保障の事務手続きにお困りの方は、ぜひ社会保険労務士への依頼を検討してみてはいかがでしょうか。

石丸社会保険労務士事務所では、労働・社会保険などの各種手続き、助成金申請代行や就業規則作成のほか、解雇や時間外労働など近年注目される労務リスクに至るまで幅広くお手伝いをしております。お電話またはメールのみのご相談契約など、お客様のご希望に沿ったプランもご提案が可能です。人事・労務関係でお困りの方はもとより、社労士の業務についてお聞きしたいという方は、いつでもお気軽にご相談ください。